熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 網走から、から酒 | main | 一日遅れの猫の日協賛 >>

行ったり来たり流氷の海

ひと晩で海を埋め尽くしたかと思えば翌朝にはもう消えていることもあるという流氷が見たくて、流氷の海のすぐ近くに長くいられる方法はないだろうかと考えた末に気づいたのが、そうだ、流氷の海の近くのユース・ホステル(YH)でヘルパーをやろう!ということで(ここでいうヘルパーというのは介護のことではなく住み込みの無給手伝い人のことです)、2月のはじめから3月の終わりまで、浜小清水駅の近くのYHでヘルパーをやっていたのは、今から31年前のこと。

その年は、流氷の接岸がいつになく遅れていて、流氷が来ないとYHとしてはお客さんが来てくれないから困って、とにかく早く流氷来てくれないかなってことをみんな祈っていて、ときに強い北風が吹くと、YHのかあさんが「流氷が来る風よ!あなた見てらっしゃい!」と言い出して、とんでもなく寒い(というより痛い)空気の中(正直ちょっと参ったな=なんでこんな寒い中に出ていかなきゃいけないんだよ=との思いを抱きながら)YHの裏の小高い丘に登ってオホーツク海を眺めるんだけど、海は真っ青のまま…ということが、結局、最後まで続いて、流氷は、来なかったのでした。

《平成元年(一九八九)、百年に一度の流氷異変が起きた。この年の冬、流氷はついに接岸しなかった。だから、気象台の記録には、接岸初日、海明けとも<なし>となっている。流氷初日はあった。二月二日に流氷は沖に見えたものの、近づきもせず春を迎えてしまったのだ。》(菊地慶一『ドキュメント流氷くる!』2000年刊、共同文化社)



その前にも、その後にも、流氷は、見てます。冬ではなく、ゴールデンウィークに、オホーツク海に流氷が押し寄せたのを見たこともあります。でも、その後は、流氷の時期にオホーツク海沿岸に長逗留するような機会はなく、流氷がひと晩で現れたり、あるいは消えたりというのは、話には聞いていても、自分の目で見たことはないまま、はや、30年以上が過ぎました。

やっと、わかりました。

午前10時過ぎの釧網本線北浜駅


同じ日の7時間後、午後5時過ぎの釧網本線北浜駅


ひと晩どころじゃない。
日中のわずかな時間で、流氷が、陸地に近づいてきているのです。



31年前、浜小清水のYHにいたとき、流氷がびっしりになったところに雪が降るとただの雪原にしか見えない、流氷シーズンの最初の頃か最後の頃、流氷が行ったり来たりして海水面が少し見えているほうが流氷っぽくていい、という話を聞いたのを思い出します。

この日、ぼくが北浜駅で見た光景は、まさしく、それでした。しかも、日没からはもう30分ぐらい経っているのに、天気がよかったからまだかろうじて明るさが残っていて、そこに列車があらわれるという、最高のシチュエーションに遭遇することができたのは、幸運でした。

旅と鉄道 | permalink | comments(0) | - | - | -

この記事に対するコメント

コメントする