熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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令和元年台湾鉄路九百公里(4)

気まぐれ列車的行程とはいっても、これだけは絶対に乗ろう!と決めていた列車が、一つだけ、ありました。台湾南部、枋寮(ファンリャオ)と台東(タイトン)とを結ぶ、1日1往復の、台湾国鉄に唯一残された普快車。枋寮10時40分発→台東13時05分着3671次(日本ふうに表現すれば3671レ)、台東16時10分発→枋寮18時22分着3672次。台湾鉄道通の諸先輩方が「いつ廃止になってもおかしくない列車だから絶対に乗っておくべき!」と、みな口を揃えて勧めてきた列車です。

枋寮は、高雄から1時間弱。



高雄9時35分発の自強号に乗ると、台東行き普快車の出発時刻の8分前に枋寮に着きます…というのは、時刻表上の話で、実際には自強号が遅れたため、枋寮駅の階段を駆け下りて、地下道を走って、普快3671次が待つホームへ駆け上がるという、落ち着かない乗り換えになってしまいました。そんなこともあろうかと、余裕を持って枋寮に着いておきたかったのですが、高雄9時35分発の前は7時14分発で、これはいくらなんでも早すぎる。

枋寮から台東までは98.2km、2時間25分。運賃は104元(360円ぐらい)。



台湾の鉄道のきっぷは列車ごとに出てきます。たとえば、台北〜高雄間であれば、自強号(特急的な列車)だと843元、莒光号(急行的な列車)だと650元、復興号(快速的な列車)だと542元。乗車券があって特急料金がある、のではなく、こういう体系になってます。このとき、ぼくは、高雄から枋寮までの自強号の切符を買って、自強号に乗って枋寮まで行き、枋寮でいったん改札を出て、台東までの普快車の切符を買うつもりでいました。ところが、自強号が遅れたため枋寮で改札を出て切符を買っている時間がなくなり、枋寮からは切符を持たないまま普快車に乗ってしまったのですが、通路を歩いてきた車掌さんに枋寮までの切符を見せたら、車掌さんが持っていた端末から、上の車内補充券(のようなもの)が出てきたのでした。

枋寮から台東まで100km弱で360円というのは破格の安さに感じますが、台湾は、総じて、鉄道の運賃が安い。東京〜名古屋とほぼ同じ距離の台北〜高雄(371.5キロ)で、特急に相当する自強号に乗っても、843元=2950円ぐらい。それでいてシートピッチは日本のグリーン車並みに広く、とても快適です。台北〜高雄には新幹線もあって、こちらは所要時間90分で1,490元=5,200円ぐらい。

さて、こちらは快適とはいえない普快車の話に戻りましょう。

いくら人気の列車といっても平日なら空いているだろうと思っていたのですが



枋寮でぼくが乗り込んだときは、もう、海側の席は、ほとんど埋まってました。3両編成のうちの1両目に至っては、団体さんが乗っていて、海側も山側も、ほぼ、一杯(この団体さんは台東の少し手前の知本駅=台湾南西部の有名観光地である知本温泉の最寄駅=で下車していきました)。鉄道ファンらしき人もいることはいますが、大半は、台湾の、普通の観光客の方です。




南国の海。




この風景を眺めるだけなら、自強号や莒光号のほうが快適です。冷房のない普快車は不快です。窓からの激しい風で髪の毛はボサボサになるし、トンネルの区間では耳がキーンとすることもあります。でも、みんな、わざわざ、この列車を選んで乗ってます。なんだかわかんないけど、この列車に乗っていると、旅してる、って感じがするんですよね。ぼく、こうやって書きながら、もう、また乗りたい!と思っちゃってますもん。

ここからは鉄道ファン(現地語でいうと「鉄道迷」)向けのお話。

枋寮〜台東間の南廻線は、2020年末までに電化される予定になっています。そのため、電化される前に(架線柱が立って架線が張られる前に)撮っておきたい!と考えて現地を訪れる撮り鉄さんが少なくないようですが、乗る側にとっても、電化されると、だいぶ、いろんなことが変わってきそうです。

駅は、電化に先がけて、ほとんどが、真新しい姿に変わっていました。



工事も、あちこちで、やってます。



この辺は架線柱が立ち始めています。



トンネルも含めて線路を付け替える箇所も多数あるようです。



ぼくが乗った日の普快車の編成は、枋寮方から、35SPK32757、35SP32578、40TPK32228の3両編成。枋寮方の2両が日本製で、デッキ付きの国鉄スハ44形タイプ。台東方の1両はインド製で、デッキはなく、両開きの自動ドアが付いてます。

昔懐かしい感じの、国鉄旧型客車と同タイプの、日本製客車。



車両中ほどに両開き自動ドアが付いた、インド製の客車。



駅に停車すると、車掌さんがドアの右上にある箱に鍵を差し込んで、ぐるっとまわす。そうすると、ドアが開きます。もっとも、それが必要なのはインド製の車両だけで、残りの2両の車両のドアは手動だから、車掌さんが何かすることはありません。放っておくと開いてしまうのか、手動の扉は開きっ放しで走っていた区間もありました。



全行程の中ほど、大武駅で、長時間停車。



宮脇俊三さんの『台湾鉄路千公里』の頃は、まだ南廻線が開通しておらず、宮脇さんは、台東から枋寮までの区間を、バスで旅しています。

《台東から一時間半、大武というやや大きな集落でバスは一〇分間休憩した。ここで太平洋と別れ、中央山地の末端を越えて西海岸に出るのである。》(宮脇俊三『台湾鉄路千公里』)

宮脇さんの旅から39年後、普快3671次は、大武で、20分近く、停車しました。

後ろから来て先に行く莒光号(彰化発台東行き)に道を譲る。



電源車。



客車。



この長時間停車の間に、ホーム上では、乗客のみなさんと車掌さんとの記念撮影が続いていたらしい、ということを、あとから知りました。そうだったのか、ボクも一緒に撮ってもらえばよかった、と思ったんだけど、鉄道迷のオレはホーム上でそんなことが行なわれていることにはまったく気づかず、車両や構造物を撮ることに熱中していたのでありました。



台東発のほうは、ちょっとだけ、乗りました。



上の写真は台東駅の改札口上に掲げられていた出発時刻表、いちばん上の16時10分発の普快車の次に16時55分発の自強号があって、時刻表通りなら上から2番目にあるべき16時32分発の太魯閣号は(25分遅れということで)3番目になってます。中国語が読めなくても、鉄道迷でなくとも、「晩25分」が「遅れ25分」であることは、まあ、わかりますわね。

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