熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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クラウドファンディングによる鉄道車両の購入はゴールではなくスタート〜廃車体の外観の維持と岩見沢赤電保存会の取り組み

先般行なわれていたニセコエクスプレス保存のためのクラウドファンディングは、無事、目標を達成し、プロジェクト成立となりました。おめでとうございます。

それはもちろんよかった、のですが、ここで集めた資金の用途は、保管場所を用意したうえで、車両を保管場所まで移設する、というところまでです。鉄道車両は動くことが前提に製造されていますから、動かさずに置いておけば、どんどん傷んでいきます。その補修は、永遠に続けていかねばなりません。クラウドファンディング成功!万歳!よかったよかった!と、喜んでばかりいるわけにはいかない。むしろ、ここからのほうが大変です。

退役した鉄道車両の保存をクラウドファンディングで実現した先行事例には、2015年に行なわれた「赤電」ことJR北海道711系電車の買い取りがあります。ファンディングと車両購入は北海道鉄道観光資源研究会が行い、車両は、保存場所である岩見沢市のファームレストラン「大地のテラス」への移設後、同レストランを運営する(株)道下産地さんに譲渡されました。現在、車両の維持・管理は岩見沢赤電保存会が中心となって行っています。

その辺の経緯は、岩見沢赤電保存会の初代代表を務めた平野義文さんのブログで詳しく紹介されています。その全文はリンク先をご覧いただきたいのですが、以下、一部を抜粋して紹介します。

《当赤電車は、周辺景観ともピッタリと合い、まさにこの地を走行しているかの様な錯覚を覚え、尚且、このレストラン内の座席からの景色が素晴らしく、四季全てにおいてその存在感を示しています。その様なことから、実は一般的な電車保存の様に屋根を設置したり、冬季間ブルーシートで養生したりということを避けています。よって夏は紫外線、冬は水分の凍結融解による塗装の劣化が激しく、都度、細かな補修が必要になってきます。そのために組織されたのが、2016年10月に設立した「岩見沢赤電保存会」でもあります。》

《幸いなことに当保存会は私を除き、非常に個性的で各分野の能力が突出した、鉄道をこよなく愛する人の集まり(公言していますが、私は実は鉄道には全く詳しくありません)。よって、この貴重な電車を維持するためにそれぞれの得意分野を持ち寄り、全力を尽くしてくれています。それでも残念ながら補修より劣化の方が進行が早く、状況を知らない人が見れば、なんでいつも塗装が継ぎ接ぎなのだろうか?もったいない。と思う方が多いかと思います。現在、私達の会では車両を全塗装できる資金もマンパワーもありません。よって、劣化で剥がれる部分のみの塗装をめくり、下地のサビを落としては錆止めと最小限の塗装を行うということを定期的に繰り返しています。》

現状は、とても見苦しい状態であることは確かです。でも、赤電は、見苦しい状態のまま「放置されている」のではありません。岩見沢赤電保存会のみなさんが、車両の維持のために、手弁当で、定期的に補修作業を行っています(その様子はネット上でも公開されています)



聞くところによれば、たまたま補修作業日に赤電を見に来られた某大手車両メーカーの方が、補修作業の様子を見ながら、この方法がベストだと、感心していらっしゃった、とのこと。

大宮や梅小路のような立派な建物を用意すれば、あるいは、一気に全塗装ができるような資金があれば、一時的とはいえ塗装が剥げているような状態になることはないのでしょうが、それができるのであれば、車両の購入費と移設費を広くクラウドファンディングで調達するようなことはしていないはず。それができない(端的にいえば「それだけのお金は用意できない」)中で、でも、残しておきたい、じゃあどうやって残すのか?という問いに対する答えが、この方法なのです。

「本業」が休みの日に、自分の時間を使って、報酬をもらえない作業をしているみなさんには、本当に、頭が下がります。ぼくは、作業を手伝うのは無理なのですが、せめて少しでもお役に立てればと思い、岩見沢赤電保存会の会員になって、年会費3,000円を納めています。

先日、昨年度の活動報告が届きました。



岩見沢赤電保存会に関わる方々も、こうした実情を理解していただこうと、熱心に情報発信をしているのですが、それでもまださまざまな声があるようなので、少しでもネット上の情報量を増やしておこうと思い、以上、長々と説明させていただいた次第です。

鉄道を維持したいと思うのなら、きっぷを買って乗りましょう。
保存車両が傷んでいくのがいたたまれないと思うのであれば、補修作業を手伝いましょう。それが無理なら、お金を出しましょう。それも無理なら、せめて気持ちだけでも応援しましょう。

それが、鉄道を愛する者の務めです。

岩見沢赤電保存会入会案内

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