熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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花咲線の魅力 再発見(1)

番匠克久さんの写真集『汽憶』は2006年刊。

写真集 汽憶

その中で、ぼくが好きなのが、この写真。

草原の中を走る列車の写真

北海道らしいといえばらしいけれど、これがどこかとすぐに特定できるほど有名な場所でもなく、いわゆる絶景というわけでもない、けれど、ぼくは、これを見て「あ、根室本線のあの辺だ」と、すぐにわかって、でもそれほど強い自信もなく、おそるおそる巻末の撮影データを見たら「根室本線 武佐〜別保」とある。ああ、やっぱり。

そして、この靄の感じが、いかにも道東の朝(それも早朝)って感じがして、すごく懐かしく、旅心を刺激するのです。

ひさしぶりに、釧路から先へ行ってみよう。

行くなら、早朝の列車に乗ろう。

そんなことをぼんやりと考えていたタイミングで、浜中駅から霧多布への路線バスの話を聞き、さらにはキハ183系入場券の根室駅バージョン(183系スラントの「まりも」がデザインされている)がほしくなり…という中で出てきたのが、JR北海道からのこの発表。

〜 いつもの列車で観光気分 〜 花咲線の「普通列車を観光列車にする取り組み」を開始します(2018年4月12日)

取り組みの開始は6月1日から。SLやノロッコ号が走る釧網本線に比べると、いまひとつ地味な感のあった花咲線(根室本線)でこのような取り組みが始まるのは嬉しいこと、ですが、そうなる前の、普段着の花咲線に、今のうちに、接しておきたい。

現在は「花咲線」の愛称が付いた根室本線の釧路〜根室間は、宮脇俊三さんが「もっとも北海道らしい線」と評した区間です。

《「根室線」沿線の景観は、どこをとってみても内地と非常にちがう。もし、「もっとも北海道らしい線は?」と問われれば「釧路から根室まで」と答えてよいだろう。》
(宮脇俊三『最長片道切符の旅』1979年)

もう40年近くも前の記述ですが、その後、北海道内の多くのローカル線が廃止になる中にあって、また、釧路〜根室間は沿線で大規模な(小規模でも)開発が進んでいるわけでもないとあっては、この評価は、宮脇さんが今なおご存命であったとしても、変わらないであろうと思います。

上の宮脇さんの文章は、次のように続いています。

《社会科などで使う大まかな地図で見ると根釧地方は一面に淡緑色で刷られているので、つい平野部であるかのように錯覚するけれど、それは海抜一〇〇あるいは二〇〇メートル以下を一律に淡緑色であらわすというわるい習慣がこの種の地図にはあるからだ。だから釧路から二駅目の別保あたりで丘陵地帯にさしかかると意外な感がしてくる。上高地から高山へ抜けるとき安房峠、平湯峠などの高い峠を越えるが、それを思い出させるような立派な林相の山間を行く線なのである。》

写真集『汽憶』に掲載されている番匠さんの写真には、まさに、そうした「根室線」(花咲線)の特徴が、よくあらわれています。これこそが、ぼくにとって憧れだった時代の、北海道の鉄道の原風景。40年経っても、それがまだそのまま残っているのが、「根室線」(花咲線)なのです。

午前5時35分発 根室行き の表示

(続く)
 

番匠 克久
エムジー・コーポレーション
¥ 1,620
(2017-01-18)

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