熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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『2011年の棚橋弘至と中邑真輔』



プロレス本が多すぎる。

というのもあるけど、なんかこれは違うんじゃないかなと思っていたのです。もちろん、この本が出ていたことはとっくに知ってたんですけど(本屋さんに行くと鉄道書コーナーとスポーツ本コーナーに行くのが常です)、いまいち関心が持てなかったというか、正直にいえば、ちょっとした拒否反応もありました。

もっと早く読めばよかった。

というのが、読み終えての感想です。一昨年の、座る場所は自由だった宴会の前に「今日は大熊さんと猪木アリ戦の話がしたくて」と入口でぼくを待っていた人が、昨年の暮れに、この本のことを「おもしろかった」と言っていて、そういうふうに(ものすごくいろんなことを語り合った仲ではないけれど)感性が同じである(というのが言葉を使わなくてもわかる)人が言っているのであればおもしろいのだろう、読まなきゃ…と思い直して、でも、それからでも、ずいぶん時間が経っちゃった(忙しい忙しいとか言ってると心が死ぬよ<反省)。

プロレスの話なんだけど、どっちかというと、人間ドキュメント、たまたまテーマがプロレスであるだけの(プロレス本として括られてしまうのはもったいない)ノンフィクションであって、すぐれたビジネス書としても読める。まあ、でも、プロレスに関する最低限の理解がないと、わかんないかな、という意味では、やっぱり、プロレス本なのかな。

だけど、こういうところは、ビジネス書だと思うのよ。

《選手たちはみんな頑張っていたけれど、結果的にビジネスは下がり続けている。これまでと同じことを続けていてはダメだ、と強く思いました。そのことに気づいているのは、僕ひとりだとも感じた。沈んでいく船に乗り続けるか、急いで逃げ出すか。故障や水漏れの箇所を修理して航海を続けるか。レスラーの考えはさまざまでしたが、僕は船を修理して、帆を立てて風をつかもうとした。》(p.153)

《企業が生き残るためには、ヒット商品を捨てないといけない。いつまでも時代遅れになった商品にしがみついていては、ビジネスは下がっていくばかりです。》(p.155)

《重要なことは、見ていたお客さんが楽しかったかどうか。レスラーや関係者の自己満足ではダメなんです。たとえばレストランで食事をする。おいしかったらまた行くけど、まずければ二度と行かない。店のポリシーなんて関係ない。》(p.158)

これを著者が言う(書く)と、押し付けがましい(ダメな)自己啓発書になりかねないのですが、上の引用箇所は、この本の主役の一人である棚橋弘至というレスラーの言葉なのです。だから、この本には、力がある。

感動、という言葉を使うのは好きじゃないんですけど、あえて使っちゃいましょう。ちょっとずつ読んで(一気に読むのがもったいなかった)、最後は、軽く、感動しちゃいました。プロレスに関心のない人には手に取りにくい本だとは思いますが、ものすごく強く、お勧めします。
 

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