熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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走る話の続き

江上剛氏の『56歳でフルマラソン、62歳で100キロマラソン』は、今年の2月刊。

56歳でフルマラソン、62歳で100キロマラソン

今年の冬、アブラソバの夜にマラソン談義をした頃に、たまたま、紀伊國屋書店札幌本店の文庫の棚に並んでいるのを見つけました。よく覚えてないけど、たぶん、不安だったのでしょう。そうか、56歳でフルマラソンか、その体験談なら、きっと役に立つに違いない…と、中身もよく見ないで手にとって、読みはじめたら、著者は、最初から、とんでもない練習をしているじゃないですか。あー、そこまでやらなきゃだめなのか、それは無理だと思っちゃって、そういう意味では、役に立たなかったんですけど(むしろ自信がなくなっちゃったぐらいなんですが)、フルマラソンに向けた練習法、という以外の部分では、とてもいいことが、たくさん書いてある本です。

《自分の人生、こんなものだったのか。五十歳を過ぎて人生の黄昏どき、今さらなぜこんなに辛く、悔しく、嫌な目に遭わなければならないのか?…(略)…なにもやる気が起きない。なんだか仕事が面白くない。人前、特に厳しい上司の前に立つと冷や汗が出て、動悸が激しくなる。…(略)…私自身は鬱病にならなかったが、そうなってもおかしくない状況でマラソンに救われた。…(略)…マラソンは、完走するという目標を持つことができる。その目標は絶えず新しい。毎回のレースの度に、完走という目標を立てねばならないから。人は目標に向かって努力している時が最も充実する。気持ちにも張りが出る。そして人と接触することが苦手な人でもマラソンは可能だ。…(略)…サッカーや野球のように器用にボールを扱わなくてもよい。スポーツも人間関係も不器用な人へのハードルが低い。》(p.39〜40)

読み直してみて、そうか、この間、走りながら考えたのは、この本の記憶がベースにあったのかもしれないと、気づきました。でも、それがわかったのは、自分が走っているという身体的感覚があったから。走りはじめて、なんだ、これ、どんなことよりも楽じゃないか(ということをブログに書こう→書いたら誰か来年の北海道マラソンに一緒に出ましょうって言い出さないかな(^^;))と思ったのです。

もう一箇所。

《そこに集まった何千、何万という人が、老いも若きも、男も女も、みんな平等に同じ目標に向かう。これほど単純なものはない。駆け引きも何もない。頼りになるのは自分の足だけ。足を動かし続ければ、必ずゴールが来る。速いも遅いも関係ない。完走の喜びを味わいたいだけ。誰もが自分を励ましてくれる。練習は裏切らない。ちょっと練習が足りなかったけど、それもしょうがない。言い訳はしない。ただ足を動かし続けろ。歩いてもいい。立ち止まるな。みんなと同じゴールを目指すんだ。息が上がれば、休んで整えろ。追い抜かれても気にするな。自分のペースでいいんだ。どこの世界に、自分のペースでいいと心の底から励ましてくれる社会があるだろう。会社で自分のペースでやりますと言ったら、その途端にアホかと罵られるだけだ。自分の人生に欠けていたもの。それは自分自身を応援する、ベタなまでの応援歌だ。マラソンにはそれがある。それが走る理由だ。》(p.112〜113)

いいなあ。書き写しながら、新川通の復路の光景が浮かんできちゃったよ(笑)。絶対に言い訳しない!と心に誓って、苦しいとか、無理だという言葉が頭に浮かびそうになったら、まだまだ、まだまだ、とにかく足を動かしていれば終わるんだと言い聞かせて、ネガティブワードを頭の中から消し去っていく。そして、何も考えるな、オレはいまマシンなのだ、とにかくゴールを目指すこと以外は考えるなと、ぶつぶつ、つぶやく。

さらに、もう一箇所。

《世の中、複雑すぎる。人脈や情報や何やかや、努力以外のことが多すぎる。努力すれば、真面目にコツコツやれば幸せになれるというほど、世の中は甘くない。そんなことはわかり切っている。しかし、マラソンの中には、コツコツ努力すれば報われるという誰もが信じている、信じていたいプロセスがあるのだ。タイムの評価は、誰かと競うものではない。自分自身と競い、よく努力した、と自分の結果を自分でほめる。もらえるのは似たり寄ったりの完走Tシャツと完走証だ。それでもいい。前より良かったではないか。フィニッシャー(完走者)という称号が、汗ばみ、披露した体になんと心地よいことか。》(p.122)

単純なんですよね。ただ、走ればいいんだもの。走ったら走っただけ、完走に近づいて、タイムが縮まっていく。そうだ、そのとおりだ、世の中、複雑すぎるんだ。マラソンは、そうじゃないから、心地よいんだろうな。
 
 

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