熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
<< August 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 祝 阿寒摩周国立公園誕生 | main | フラワーマラソンリベンジ >>

道北の車窓から

朝晩かなり涼しくなってきて、もう夏は終わりなんじゃないかとの声も聞かれる今日このごろですが(37度の地域にお住まいのみなさんには申し訳ないんですけど北海道はそうなんです)、まだまだ、夏の空、盛夏です。



こんななんでもない風景でも、窓が大きくてちょっとゆったりした座席の列車から見ると、とても、心地よい風景になるーというのは、いまさらながらの発見でした。個室じゃなくてもいいし、アテンダントのサービスがなくてもいい。普通の座席でいいんだけど、大きな窓がほしい。北海道だからこそ、窓の外の風景が広い北海道ならではの、窓の大きな車両がほしい。

窓を大きくすれば強度の点で問題が生じるであろうことぐらいは、素人でもわかります。でも、北海道の魅力を伝えるには、絶対、大きな窓です。それと、隣の人と肘が接しない程度の幅の座席、となると、1,067mmではやっぱり3列なんでしょうね。そりゃそうだよね。都市間バスなんて、とっくに3列座席が主流になってるじゃないですか。

文庫本と音楽を携えて、窓の大きな、ゆったりした座席の列車の旅は、とてもゴキゲンです。最近しょっちゅう乗ってる宗谷本線の旅だから、飽きるんじゃないかと思ったけど、ぜんぜん飽きない。窓の外を眺めるのに飽きたら文庫本のページをめくればいいし、くたびれたら目を閉じて居眠りすればいい。そして目を開けると、大きな窓の外に高い空がある。(ぼくは飲まないけど)ビールだって飲める。そんなこと、クルマの旅じゃできないし、この落ち着きはバスの車内では得られない。

そういう視点で乗っていると、もったいないなあと思うことが、たくさんあります。たとえば名寄の手前で車窓の右手にキマロキが見えることは、ぼくは知っているからそのときに備えて目を凝らして窓の外に目を向けているけれど、大半の人は気づかないし、気づいたとしても「?」で終わってしまう。ここで、キマロキが見えますよ、これはここにしかない昔の除雪車なんですって説明をすれば、観光旅行者なら、「へ〜」「ほ〜」と感心してくれるかもしれない。ビジネスで乗ってる人にはうるさいかもしれないけど、ビジネスで乗ってる人がそんなにたくさんいるならば廃止なんて話は出てこないわけで。

あるいは、車窓にしばしば登場する、牧草ロール。あれが何かは、ぼくらは北海道に住んでいるから知っているけれど、道外の人や、ましてや海外の人には、珍しい、北海道らしい風景であるはず。これはこういうもので、という説明をして、さらに、サイロの話なんかもすると(道外の人はいまだに牧場経営にはサイロが必須だと思っている人が多いですからねえ)、観光旅行者は嬉しい。北海道の農家にとっても、自分たちのことを知ってもらえるのは嬉しい。

いちいちうるさいよ寝かせてくれという人は、別の列車に乗ってもらえばいいんです。そういうのを楽しいと思ってくれる人だけ乗ってもらうことにすればいい。

たとえば、ぼくはいま、特急宗谷に乗っていて(座席で書いてます)、列車はいま音威子府を出たところなんですけど、車内放送で「音威子府村は北海道でいちばん小さな村で…」とか、説明があったら、おもしろいじゃないですか。去年、大阪から鳥取まで、スーパーはくとに乗ったら、客室出入口のドアの上の電光案内板で、列車がそのときに通過している市町村の説明が流れたのを見て、ああ、これはいいなあと思ったんですよ。そんな説明の原稿を作っていちいち読むのは車掌さんの仕事を増やすことになって大変かもしれないから、やっぱり車掌さんとは別のアテンダントさんが必要なのかもしれない。



新しい北海道の列車を、普通の旅行者がわくわくできる車両を、つくりましょう。時間はかかるだろうけど、つくりましょう。まずは鉄路を残すことが第一だけど、鉄路を残すことを目指すのではなく、その先に何をするかをイメージして、そのために鉄路を残すんだってことをしないと、出口は見出だせないような気がするわけで、だから、新しい北海道の列車を、新しい北海道の車両を、みんなで、つくる。夢を語らなきゃ、いつまで経っても現状の延長線にしかなりませんから。

旅と鉄道 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - | -

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://work.kuma-i.com/trackback/1195431
この記事に対するトラックバック