熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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1982年の南稚内

仕事関係の人たちと飲んでいる席で、夏休みの話になって、ぼくは毎年礼文島に行くんです、って話をしたら、目の前の人から、有名ユース・ホステルの名前が出てきまして…

「よくご存じですね」
「こまどりハウスっていうのがあって、うちのサークルが、代々、ヘルパーやってて」
「えっ!」

ぼくが初めて北海道を旅した1982年の夏、ぼくはW高校の1年生でした。そのとき、稚内で泊まった「こまどりハウスYH(ユース・ホステル)」ではW大学の旅のサークルのみなさんがヘルパーをやっていて、W高校のぼくは、W大学のお兄さんお姉さんがたに、たいそう、かわいがられたのでした。

「オレ、82年と83年に、やってたんだよね」

稚内駅の入場券 昭和57年7月27日

おお!なんということだ!いま札幌で一緒に飲んでいる、仕事上でしか接点がないと思っていたオジサンたちは、35年前、大学生と高校生という立場で、ヘルパーとホステラーという立場で、稚内のユース・ホステルで、出会っていた!

稚内のYHの話をするときに注意しないといけないのは、稚内YHというのが2つあることで、1982年当時は、稚内駅の近くあったのが稚内YHでした。それが閉館になった後、こまどりハウスYH(南稚内駅近く)が稚内YHに改称し、稚内YHとして昨年まで営業していました。現在も稚内駅の近くにあるモシリパYHは、これらとはまったく別の施設です。

「稚内ユースっていうのがあってね」
「カレー!」

この、カレー、のところ、見事に、ハモりました。まわりにはほかにも何人かいたんだけど、この瞬間だけは、二人の世界(笑)。そうです、当時、稚内YHといえば、カレーだったのです。当時はインターネットなんてなかったけれど、YHハンドブックに「カレーが自慢です」みたいな記述があって、情報の少ない時代にあって、稚内ユース=カレー、は、現在でいえば、帯広=豚丼、ぐらいには、北海道を旅する人たちの間で、知られていました。

そのときは思い出せなかったんだけど、しばらく経ったら、いろんなことを思い出してきた。

こまどりハウスYHに泊まった翌朝、ぼくは、南稚内駅の改札口の前の列に並んで、7時15分発の札幌行き急行《宗谷》の改札が始まるのを待っていました(と書きながら思うのはそれでも朝食は済ませていたということはかなり朝食が早かったということで、あれは朝の船で利尻・礼文に渡る人が多かったからなんだろうな<当時の利礼航路の初便は7時台でした)。その行列の中にいたときに、ユースのベッドの枕元に帽子を置き忘れてきたことを思い出し、坂道を登って、ユースに戻ったのです。

宗谷本線の時刻表

帽子は無事に確保されたものの、すぐに駅に戻ったところで次の列車は2時間以上も後。高台にある眺めのいいユースでは、ライダーが次々と出発していき、宿泊者が少なくなった朝のユースのまったりした空気の中で、ヘルパーのおにいさんおねえさんたちから「おーくまくん、島には行かないのかい?」「島はいいよ」と利尻・礼文を勧められ、さすがに北海道ワイドでは行くことのできない島には渡らなかったものの(離島に行くなんて考えてもみなかった)、「周遊券まだあるんだろ?また来なよ」という誘惑には、その何日か後に、このYHに戻ることで、見事に応えてしまったのでした(高校1年生にしてYH用語で言うところの「出戻り」初体験)。

そして、それから5年後には、島にも渡ることになるわけです。

急行宗谷の編成表

自分らしいなあと思うのは、カレーで有名だった稚内YHではなく、地味な存在だったこまどりハウスYHを選んでいることで、この辺は、桃岩荘ではなく船泊を選んだのと似ています。これといった理由もなく、超有名なところよりも地味なところのほうがいいな、という程度で選んだ船泊YHに、まさか、その後、30年も通うことになるなんて、当時は想像できるはずがない。

不思議だなあ。すっかり忘れてたことが、どんどん、甦ってくる。あのときの南稚内駅の、改札口からまっすぐに列ができていた光景(あの駅の形はいまも同じなんだよねえ)。こまどりハウスの前の、うっすらと霧のかかった中で、バイクを見送ったこと。自分が寝ていたベッドに戻ったとき、そこにあった帽子の様子。それらが、頭の中に、映像として出てくる。

こういう記憶が、映像として、脳内のどこかに、保存されてるんですねえ。

 

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