熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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熊谷のD51を見に行く

東京へ行ったついでに、空き時間を利用して、熊谷市の荒川公園に静態保存されている蒸気機関車「D51 140」を見に行ってきました。



この機関車は、1970年の引退後、熊谷市が国鉄から借り受けてここに展示したものです。2014年には(国鉄から所有権を引き継いだ)JR東日本から熊谷市に無償譲渡されたものの、当時は車体に赤錆が浮いているような状態。その姿に心を痛めた地元の若者たちが、ボランティアで修復作業を行い、このたび、ピッカピカの状態を取り戻しました。ただ美しい状態を取り戻したいとの思いで錆取りやペンキ塗り、破損箇所の補修を行ったボランティアグループの努力あってこそですが、彼らの熱意にほだされたのであろう熊谷市が、アスベストの除去費用やペンキ代を負担するなどのバックアップを行ったというのも、とても嬉しいことです。

お披露目となった今年4月1日のイベントまでの取り組みを、たまたま、フェイスブックで見ていたもので、どんなものか見に行ってみた、というのと、ちょっと上から目線になっちゃうかもしれませんけど、それなりの年齢になってきた者として、実際に修復作業を行ったみなさんには会えなくとも、見に行って報告することが頑張っているみなさんへの激励になればいいなとの思いもあって、たまたまこの時期に東京へ行く用事があったもので、行ってきた次第であります。



ぼくはSL世代よりはちょっと下で、ちょっと上の世代の方々が蒸気機関車を楽しげに語るのは正直いまいち理解できなかったりするのですが、この熊谷の美しく輝くD51を眺めていると、蒸機に魅せられるというのはこういうことかと、多少、わかったような気がしました。とにかくきれいだから見ていて楽しくて、目の前にある動輪が動いたらそれはすごい迫力なんだろうなとも思えてくる。理屈は抜きにして、とにかく、ピカピカに磨かれているSLが、美しいのです。美しいから、目を奪われるのです。

さらに素晴らしいのは、いちばん上の写真にあるように、SLを囲う柵に「ご自由にお取りください」との案内とともに「SL資料」と書かれた箱が掲げられていて、その中に、A4版両面印刷のペーパーが入れてあったことです。片方の面にはカラー印刷の蒸気機関車の構造の説明があり、もう片方の面にはD51-140号機がどんなもので、ここにあることがどういう意味を持っているのか、これを保存展示することにどんな意義があるのかということが、押し付けがましくなく、コンパクトに、とてもわかりやすく書かれています。これを作るだけでも大変だろうし、屋根のない屋外だから天気を見ながら適宜補充していかなければならないわけでそれだけでも結構な手間だろうと思います。

それと、柵の左右と後ろの部分には、D51-140の古いモノクロ写真や、今回の修復に至る経過の写真なども飾られています。こういうふうに、ちゃんとアップデートされているのがわかると、ああ、この機関車は大事にされているんだな、それだけの価値があるものなんだなと、見ている側にも自然と伝わってきます。それは、何年も更新が止まっているホームページと、マメに更新されているホームページの違い、みたいなもので、マメにアップデートされていれば、アップデートしている人たちの愛情や熱意が見る側にも伝わってきて、それは多くの人を巻き込むことにつながっていくのです。

D51のすぐそばは熊谷桜堤という花見の名所で、この日は、満開宣言が出た日。



そんな中、桜並木にはほとんど目もくれずに(笑)、ひたすらSLのまわりをぐるぐる、うろうろしていたのですが、ほんのわずかな滞在の間にも、およそ鉄道ファンとは思えない(桜を見に来ただけであろう)人々が「この前テレビでやってたね」とか「新聞に出てたよね」とか言いながら、置いてある「SL資料」を手にしたり、写真を撮ったりしている姿を見ました。

もう動かない機関車だけれども、地元のみなさんの手で新たな生命を吹き込まれ、動かないなら動かないなりに役目を果たそうとしている。そんなふうに感じました。そして、見た人にそんなふうに感じさせるためには、つねに何かが動いている状態にすることが大事なのだということも、よくわかりました。動いているというのは、機関車として動かなくとも、この日のように、きれいな状態の=雨風に晒されてぼろぼろになっているようなものではない=パンフレットが整備されているだけでも、いいのです。パンフレットといっても、ここに置いてあるのは、パソコンのプリンターで作ったものです。でも、それでも、いいのです。色が焼けてしまっているような、いつからそこに置いてあるのかわからないような立派な印刷物よりも、手づくりであっても新しいもののほうが、ずっとずっと、いいです。大切なことは、この機関車がみんなから大事にされている、ということがわかることなのですから。

東京駅から熊谷駅までは新幹線に乗れば40分弱。札幌から新千歳空港までと同じぐらいの時間です。そして、熊谷駅からD51-140までは、札幌駅から時計台へ行くよりも近いぐらいの距離です。その気になれば、すぐに行ける場所です。

やっぱり、百聞は一見に如かず、なのであります。

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