熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 3月5日開催 妹背牛町で温泉フォーラム(硬券入浴券付き) | main | 釧網本線はすごかった >>

すごい。これが北海道か!

《函館発車後30分で、待望の小沼が左手に現れた。志望大学を現役で突破し、喜びにあふれて平戸口から参加していた千葉県市川市の****クンが、「すごい。これが北海道か!」と大声をあげる。ただでも声が大きいから客車中に響き渡る》(種村直樹『気まぐれ列車で出発進行』1981年)

函館本線の車窓から見える大沼と駒ケ岳が素晴らしい風景であることは認めます、が、これは、いくらなんでも大げさではないか、いまふうに言えば「話を盛ってる」のではないかと、長い間、思ってきました。

それから36年11ヶ月後の2017年2月、釧網本線の列車は、混んでいると聞いてはいたものの、実際に乗ってみたら、自分が予想していた以上に、混んでました。



ぼくはかろうじて通路側の席に座れたものの、北海道は二度目で前回は札幌と函館を仕事で訪れただけのSクンは、ロングシートの狭い空間に、体をねじ込むように座っていました(彼は細身だからそういう芸当ができる)。

やがて、右手に、斜里岳が、きれいに見えてきました。



この風景に背中を向けたままロングシートに座っているSクンのところに行って「斜里岳、見えてますよ」と教えてあげたら、Sクンは、振り向くや否や「うわっ!(正確に表現すると「う」と「わ」と「あ」を合わせたような音)すげぇ!!!」。

これだけの反応があれば教えたかいがある、と思ったと同時に、そうか、あの種村氏の文章は、けっして話を盛ったわけじゃないんだ、こういう若者(Sクンはもう若者の部類ではないかもしれないけど)もいるんだと、大沼公園の感激(を綴った旅行記)を思い出したのでした。

そもそも、どうしてぼくがわざわざ彼のところまで背後の風景の素晴らしさを教えに行ったのかというと(そのときは意識してなかったけれどいま思い起こしてみると)、彼は、ちょっとしたことでも、いちいち驚いたり感激したりしてくれるからなのでした。そこに媚びる姿勢やわざとらしさがあるとイヤなんだけど、彼は、いまどきこんな素直なヤツがいるのかと思うぐらいに、純粋です。なんでも吸収していくようなおもしろさがあるから、教えてあげたくなっちゃう。

知床斜里で多くの乗客が下車して、彼は知床斜里からは海側のクロスシートに移りました。ぼくもまた、多くの乗客と同じように、知床斜里のホームに降り立ち、彼(の乗った列車)を見送りました。それから数分後、あの列車の窓の外、彼が乗っていた側の窓越しには、流氷の海が広がったはずです。



その瞬間の彼の反応はいかほどだったのか、想像すると、笑ってしまいそうなんだけど、ああいうピュアな反応ができるのはいいなあと思います。ちょっと、羨ましいかも。



 

旅と鉄道 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - | -

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://work.kuma-i.com/trackback/1195262
この記事に対するトラックバック