熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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「利用したい食堂車と車内販売」

ロングセラー(だった)種村直樹著『鉄道旅行術』(のち『新版 鉄道旅行術』)は、ぼくたちの鉄道旅行に大きな影響を与えてきた本です。中身は時間の経過とともに少しずつ変わっていきましたが、見開き2ページで1項目、横書き、イラスト入りという基本パターンは、長年、変わることなく、版が重ねられていきました。

そんな中、長年にわたって変わることのなかったのが「利用したい食堂車と車内販売」という項目と、その最初のパラグラフ。すなわち《僕は”食堂車と車販を愛する会”の熱烈な会員である。この会の事務所は、どこをさがしても見つからないが、だれでもすぐ会員になれる。食堂車やビュフェの営業をしている列車に乗れば、すぐに出かけ、車内販売が来れば、なにかひとつ買い求めればよい。》という箇所です。

食堂車は、長距離列車の減少に伴ってどんどん消えていってしまいましたが、昨今、車内で食事を提供するレストラン列車が各地で増えているのをみれば、またどこかで復活してもいいんじゃないかとも思えます(そこで「でも経営的に云々」と理屈を並べるのはやめましょう<最近わたしはつねにこういう姿勢です)。でも、今のところは、日常的には存在していないのだから、利用したくても利用のしようがない。

かたやで車内販売。

JR北海道特急列車内の座席に置いてある車内販売メニュー

JR北海道の特急列車の車内販売は、合理化によって、いまや、函館〜札幌間の「スーパー北斗」「北斗」と、札幌〜釧路間の「スーパーおおぞら」に残るだけになってしまいました(現状は「スーパーおおぞら」が大雨被害のため運休中なので函館〜札幌間にしか存在していない)。

ぼくがときどき乗る札幌〜稚内間の特急「スーパー宗谷」は、走行時間が約5時間だというのに、車内販売もなければ車内に自動販売機の設置もなく、かつての列車のように長時間停車もないから、出発前に何か準備しておかないと、5時間もの間、飲まず食わずになってしまいます(念のため書き添えておきますが「サロベツ」の車内には飲み物の自動販売機があります)。この間、稚内へ行ったとき、音威子府を過ぎたあたりで、ぼくの近くにいた人が車掌さんに「この先どこかで停車時間はないのか?お茶も買えないのか?」と文句を言ってましたが、文句を言ってもどうにもならないのはわかるけど、その気持ちもわかります(発車前に「この列車には車内販売はありません、自動販売機の設置もありません、途中の停車時間もありません、お買い物は駅の売店で済ませておくように」とアナウンスが流れてはいますけど、ねえ)。

それを復活させろと言ったところで、現状ではどうなるものでもないので、まずは、車内販売は必要なんですよということを、行動を持って示さなきゃいけない、なんて表現だとずいぶん勇ましい感じになっちゃうけど、”食堂車と車販を愛する会”の会員としては、とにかく、何か買わなきゃいけないんだろう、ってことで、この間、「スーパー北斗」に乗ったときは、コーヒーとバウムクーヘン(北菓楼)のセットを買いました。

バウムクーヘンとコーヒー

コーヒーだけだと300円。セットだと390円。

車内販売メニューの内容

コーヒーが300円だと?コンビニなら100円だぞ!…と言われると、なかなか、反論しづらいんですけど、そこは、競合ではないんだろうな。車内販売のコーヒーがコンビニを意識する必要はない。モノを売っているのではなく、サービスを売っているのだと考えればいいんです(だとしたら、まだまだ工夫の余地はあるんだろうけど、それはさておき)。

札幌から特急列車に乗ると、だいたい、上野幌から北広島のあたり(西の里信号場のあたり)で車内販売のお知らせ放送が流れることが多いんですけど、いつの頃からか、車内販売ではなく「ワゴンサービス」って言うようになってて、若い人だと車内販売と言わずにワゴンサービスって呼ぶ人もいるぐらいなんですけど、『幸福な食堂車: 九州新幹線のデザイナー水戸岡鋭治の物語』(一志治夫著)には、こんなことが書いてあります。

《丸山は、すぐに車内販売をJR九州の直営とし、販売員を社員とすることを決断する。同時に「車内販売」を「ワゴンサービス」と名称変更した。「つばめ」には、「つばめレディ」を四名もしくは五名配置した。》
『幸福な食堂車: 九州新幹線のデザイナー水戸岡鋭治の物語』第8章「なぜ食堂車が大切なのか」)

そうか。そうなのか。そうだとすれば、少なくとも九州では、かなり前から、車内販売はワゴンサービスだったのですね。でも「食堂車とワゴンサービスを愛する会」ってのは、なんか、しっくりこないなあ(^^;)。JR北海道も、無理して(べつに無理はしてないか)ワゴンサービスなんて言わなくても、車内販売、で、いいじゃないですか。現に、座席前ポケットに入っているメニュー表には「車内販売」って書いてあるんだし。

いや、まあ、そんなのはどっちでもいいんですけど、車内販売って、鉄道旅行の大事な要素だと思うんで、やっぱり、残してほしいんだよなあ。そのためには、ぼくらが利用するのがいちばんです。いろいろ難しいこともあるんだろうけど、その辺のコンビニでも売ってるような商品ばかりではなく、ちょっと変わったものも置いてくれたりすると、もっと嬉しい。北海道の列車内なのだから、道外の会社が製造した品よりも、道内メーカーのものがあったほうが、嬉しいじゃないですか。たとえば白い恋人がバラ売りされててもいいじゃないですか。品質管理や賞味期限の問題はあるんだろうけど、六花亭や柳月のお菓子をバラ売りしてるとか、妄想(笑)は、いくらでも膨らみます。

大事にしましょう、車内販売。

 

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この記事に対するコメント

いままさに、スーパー宗谷で稚内に向かっています。もちろん「完全武装」で乗ってますよ。確か種村先生は大雨などで列車が止まりそうになって、駅弁などの食料を買い込んだときはこのように表現していたような。しかし、普通に乗る時でも完全武装しないといけないとは。
こんびに | 2016/09/24 8:23 AM
列車が止まりそうになったらまず食料の確保を、という鉄則、ありましたね。オホーツク(運休中ですが)は遠軽の小休止がありますが、スーパー宗谷は本当にもうどうしようもないので、なんとかしてほしいものです。
issei | 2016/09/24 3:44 PM
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