熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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初めての北海道新幹線(そりゃそうだ、今日開業だもんね)



北海道新幹線の、本州から北海道に入る一番列車に乗ってきました。

そんなものつくっても誰も乗らない、料金が高い(確かに高いんだけど)、青函トンネル内のスピードが遅い(実際に体感的にはかなり遅かった)、そもそもJR北海道は…などなど、聞こえてくるのは否定的な声ばかりなんだけど、できちゃったんだから、有効に活用することを考えましょうよ、前向きに行きましょうよ、というスタンスで書きたいのですが、まあ、たしかに、難しいことは難しい。単純に、北の大地に新幹線、といって、はしゃいでいていいのか、とは思います。

そんなときに思い出すのは、やっぱり、『時刻表2万キロ』の最終章、気仙沼線開通の日、です。昭和52年12月11日、今から40年近く前のことを、宮脇俊三さんは、こう綴っています。

《東京の新聞には、また赤字線が増えたと批判的な記事が載っている。しかし地元はこのとおりである。地元の人たちは鉄道の開通を喜ぶが、みんなマイカーを持っているから、ほとんど乗ろうとはしない。国鉄側にしても列車を一日五往復しか運転させないのでは、大いに利用してくださいとは言えない。
開通日のお祭が終れば、風光のよい三陸海岸の新線を、わずかな客を乗せたディーゼルカーが淋しく走るだけになるのだろう。国鉄では気仙沼線の赤字係数の計算はちゃんと出来ており、七二五の見込みであるという。
むずかしい問題ばかりだが、私には、駅前で妙な踊りを踊る日焼けしたおばさんたちの顔だけが、たしかなものに思われる。》
(宮脇俊三『時刻表2万キロ』第14章)

何度も書いてますが、この宮脇さんの文章は、本当にうまい。本来の利用者とは少し異なる立場の、楽しみとして乗せてもらっている者としては、そういうふうに考えることが、むしろ健全ではないかとすら思います。

テレビ各局が生中継している(んですよね?)のは、ちょっと違うんじゃないかと思うけれど、現地に来て、最初の列車に乗って、駅頭の大見送りや沿線の大勢の出迎え(知内町はすごかった)を目の当たりにすると、ただ悪く言うのも違うような気がします。この、現場の多幸感は、それは騙されているんだよ、先のことを考えないで目先の喜びを得ているだけだと評するには、あまりにも暖かく、そして優しすぎます。

昨夜遅くに青森に着いて(新千歳空港19時15分発の青森行きの飛行機で−津軽海峡線は新幹線切替のために運休中だったから北海道から本州へ渡るには飛行機か船しか手段がなかった)、居酒屋での前夜祭に遅れて参加して、そこで出たのが、気仙沼線の話でした。「気仙沼線も、もう汽車は走らないんだよねえ」と口にしたのは、あの日、宮脇さんが綴った志津川の熱狂を、宮脇さんと同じ列車の中で眺めていた方でした。宮脇さんが《いよいよ悲願八十年の志津川に着く》と書いた気仙沼線は、悲願80年の半分にも満たない年数で、鉄道としての使命を終えてしまう。

だからといって、それがどうなのかは、余所者には、わからんのです。

JR北海道は、そりゃ、大変でしょう。でも、今日の一番列車のアナウンスは、素晴らしかった(やればできるじゃん)。青函トンネルに入って、青函トンネルの工事で命を落とされた方が34名もいること、その方々の犠牲のおかげで新幹線が走っていることが紹介されて、安全に運行していくことが使命です、みたいな話があったときには(あんまりこういう言葉は使いたくないんだけど)ちょっと、感動しちゃいました。そんなこと言ってるけどさあ、などと茶化したくなるかもしれませんが、信じることからしか始まらないのだから、ぼくは、信じたい。そのぐらい、力のある言葉でした(ただ、その後の、同じ車掌さんのアナウンス「ここでみなさんにクイズです」は、やり過ぎで、滑ったような気もする(^^;<まあ、でも、何事も、チャレンジですから、そういうのを頭ごなしに否定するのはやめましょう)。

そんな北海道新幹線開通の日、今日は、ものすごくよい天気です。北海道の早春というにはまだ少し早いはずの季節なのですが、残雪をかぶった遠くの山々が、青い空と海に、白く輝いています。これまた陳腐すぎる表現になってしまいますが、北海道新幹線、そして道南いさりび鉄道のスタートの前途を祝福するような、すばらしい好天です。

でも、ぼくは、所用により、一番列車の到着から10分後に出る、国鉄型気動車特急で、札幌に向かっています(現在、列車内で、このブログを書いてます)。せっかく来たのだからもっとゆっくりと思わないでもないけれど、北海道新幹線で本州から北海道に渡ってきて道内特急に乗り継いだ最初の人になれたと思えば、まあ、いいでしょう。

新函館北斗から乗った在来線特急も、昨日までとは違うルートで、見える景色が違っていてこれもまた新鮮なのですが、その話はまたあらためて…(なにしろ昨夜はホテルに入ったのが23時ごろ、今朝は5時チェックアウトなんで、そろそろ、くたびれてきてまして…)

青森の夜と新函館北斗までの車中をご一緒いただいたみなさま、そしてこの日この時この場所に連れてきてくださったみなさま、ありがとうございました。

(ところでいま洞爺と伊達紋別の間を走っていて、右手に噴火湾越しの恵庭岳が見えるんですが、ぼく、何十回どころでなくこの辺乗ってるはずなんですが、今日の眺めは過去最高クラスです−やっぱり北海道はすごいや)

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