熊式。

大熊一精(おおくま・いっせい)の日々あれこれです。
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【言葉】「ならぬことはならぬ」

日本人という生き方
日本人という生き方
小田島 裕一

p.207から引用:
「ならぬことはならぬ」ということが通用する、良き日本の社会にしたい。


私と同年代の著者がこのように書いているのを、嬉しく思いました。

私もそう思うのです。「ダメなものはダメ」なのです。理屈ではなく。
でも、私の幼年少年時代、世の中の主流になっていたのは、やってはいけないことに対してはいちいち理由を説明し、最後には「他人に迷惑をかけなければかまわない」という哲学(?)を登場させること、だったように思います。幸いにして私は少なくとも自分の両親からそのような教えを受けたことはなく(自分の年齢にしては親の年齢がかなり上だったからかもしれません)、理不尽に思ったことも「そういうことなのだろう」と受け入れてきましたが(と書くと素直に受け入れてきたようですが、もちろんそんなことはありません)、世の中で幅をきかせていたのは「他人に迷惑をかけなければいい」でした。

それが行き着くところまで行き着いたのが、後年になってバブルと称されることになる時期であり、「崩壊だのなんだのいってもそこそこあの頃は楽しかった、あれが決定的に間違っていたとまでは思えない」という人々が親ないし教師になって登場したのが、内田樹氏が『下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉』などで問題提起している「消費主体としての子供たち、学びからの逃走」なのではないか、そしてその先に現在の「悪いのは政治、社会」的な風潮の広まりがあるんじゃないか…

話が大きくなりすぎました。「ダメなものはダメ」、たとえば、机の上に足を上げてはいけないのはなぜか?と問われても明確に合理的な回答は示せない、だから「まあいいか」ではなく、「ダメなものはダメ」と断じる(私の世代は、こういうときの基準は「他人の迷惑になるかどうか」である、と、教えられてきたような気がするのです)。そこのところを、以前の日本人は、神様に求めてきたのでしょうが、そういうものも科学的な云々ということで排除してきてしまった、宗教(あるいは宗教的なもの)を胡散臭いものにしてしまった結果が、現在の日本社会であるように思えるのです。

同じ本からもう一箇所、p.257〜258から引用。

 練習前のグラウンド。グローブやバットが、きれいにまっすぐ並べられている。カバン、靴を一列に揃え、服をきれいにたたみ、練習が始まる。どこか、まっすぐ物を並べると、心が引き締まる感じがする。
 「場を清めること」で美しい空間を作ることは、練習の精度を上げる効果があるようだ。
 ある会社では、タコ糸を使い、机、椅子をまっすぐ並べ、会議の準備をするという。資料もまっすぐに並べると、自然と空間に厳かさが出てくる。会議は自ずと緊張感を持って行われることとなる。
 美しい空間は、人の心を引き締め、集中力を高めてくれる。やはり、掃除をすること、整理整頓をすることは大切である。ぐちゃぐちゃした空間では、最高のパフォーマンスは望めない。


ここでグローブやバットが登場するのは、この本『日本人という生き方』が、著者がウガンダに行って野球を教える話であるからです。「タコ糸で机、椅子をまっすぐ並べる」なんて話が出てくると、これまた素直には受け入れがたい話になってしまうのでしょうが(この辺が紙一重であることは、たとえば週刊ダイヤモンドの最新号を読むとよくわかるのですが)、そこまで極端でなくとも、美しい空間を作る、という表現は、私が先日このブログで書いた「机がまっすぐになっていないと気持ち悪い」ことの根拠を「美意識」という言葉に求めたのと同じであり、なるほど、「美意識」だと「審美眼」的感覚にも思えますが「美しい空間を作る」だとよくわかります。

そうやって考えると、かつてのユース・ホステルにあった「朝の掃除」という習慣(否、宿泊者の義務)は、必要なことだったんだよなあ。あれがなくなったのも、消費活動(等価交換)と教育的活動とのせめぎ合いの結果、だったんだろうなあ、と、またへんなほうに話が飛んでいきそうなので、ここでやめておきます。

週刊 ダイヤモンド 2009年 9/12号 [雑誌]
週刊 ダイヤモンド 2009年 9/12号 [雑誌]
ダイヤモンド社
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