日本ラグビー世界への始動
日本ラグビー狂会
おなじみ(?)狂会本です。マニアックな分析もの(これはこれでおもしろい)よりも、日本語でいうところのエッセイ調の作品が多いからか、最近のラグビー事情(選手の名前とか、どこが強いとか)には疎くなっている私でもさらっと読めました。
おなじみでない方のために説明すると、「日本ラグビー
狂会」(<誤字ではありません)編著の単行本はほぼ毎年この時期に出版されています。中身は、いわば、狂会メンバーの論文集。今年のこの本の目次は以下の通り。
日本ラグビー世界への始動−目次
プロローグ
−2019のオープニングゲーム(佐々木典男)
第1章 二〇一九年W杯ベスト8を目指して
−求められる強化体系の変革(直江光信)
第2章 勝利への設計図
−早慶に見る大学ラグビーの現在(渋谷淳)
第3章 ジョン・カーワンの先へ
−ぼくらがジャパンを応援するために(梅本洋一)
第4章 日本ラグビーの精髄を求めて
−元日本代表主将・横井章氏に聞く(生島淳)
第5章 トップリーグ、そしてワールドカップ(橋本謙太郎)
第6章 テン・イヤーズ・アフター
−びびるな、ワールド・カップなんて怖くない(中尾亘孝)
第7章 なぜフランス人はかくもラグビーが好きなのか?
−ふたつの神話をめぐって(木村安寿)
第8章 ゲバ
−セピア色の風景ではなく(時見宗和)
これに加えて、資料編として、ワールドカップの過去の大会の全結果と、今後予定されている大会(2011年=ニュージーランド、2015年=イングランド、
2019年=日本)に関するデータが掲載されています。
ラグビー狂会本は、過去には、中竹竜二・現早大監督の論文が掲載されていたこともあります(「限界と関係−急速な変化を続ける近代ラグビーの検証」−
『ラグビー・クライシス』2000年12月刊=著者紹介には「3年間の留学生活も終盤を迎え、ぼちぼちと帰国準備をはじめた」とある=、「フットボールを社会学する」−
『ラグビー構造改革』2002年1月刊=こちらの著者紹介は「3年半の海外遊学を経て、2001年3月帰国。当然ながら最年長の新入社員として、同年4月に都内シンクタンク(某M総合研究所、Nじゃない!)に入社=)。後者では、いまや中竹監督のチーム作りのキーワードとしてすっかり有名になった「フォローワーシップ」が登場しています(おそらくこれが「フォローワーシップ」が世に出た最初でしょう)。
ラグビー関連では、最近(2009年11月12日第一刷発行)、こんな本も出ました。
荒ぶるをつかめ! 早稲田ラグビー主将たちの苦闘
林 健太郎
近年の早稲田大学のラグビーは、あり得ないほどの黄金期ですし、そもそも早稲田は関係者が多い(卒業生が多いのみならず、その家族、さらには在籍者が近くにいなくても早稲田のスポーツのファンになっている人は少なくない)から、
Numberが早稲田力なる特集を組んでも商業ベースに乗るのでしょう(かくいう自分だって買ってますしね)。
狂会本と、続けて林健太郎氏の著書を読みながら、ラグビーファンにおける早稲田関係者(=もちろんファンを含む)というのは、サッカー界におけるブラジル人みたいなものなのかなと、ふと、思いました。すなわち、早稲田の人は、勝てば許されるとは考えず、勝つにしても勝ち方があるだろう、とか、態度が悪いのはだめだ、とか考えるわけですが、これって、一般の(早稲田ラグビーのファン以外の)人々の目には、ジーコやラモスの主張が普通の日本人たる私には理解できないことがよくあるのと同じような感じに映っているのではなかろうか?と。
たとえば、以前、ラグビーファンでもなんでもない人に、某チームには髪の毛を染めている選手が多い、トライ後のガッツポーズが派手すぎる、等々を話したら(どういう流れでそんな話になったのかが今にして思うと謎ですが)、それの何がいけないの?それが何かルールに抵触するの?それがどうして勝ち負けに関係してくるの?などなどを言われて、どうにも説明できなかったことがありました。これなんかは、ラモスが(あるいは、ときにセルジオ越後が)「ブラジルでは、云々」と言っているのと同じだったのかなあ、なんて思ってしまいました。
逆にいうと、日本代表のフランカーとスタンドオフとセンターが助っ人的外国人=マイケル・リーチは札幌山の手高→東海大だから除外=であることに私がものすごく抵抗を感じるのは、そういうバックボーンがあるからなのかもしれません。